ケロ坊です。3月末に台湾に行ってきました。
テーマは「『台湾論』に描かれてる場所になるべく行ってみる」です。
ちなみに『台湾論』は2000年11月に発売されたので、ちょうど24年前ですね(計算しやすい)。
飛行機は2020年に運行を開始した台湾の航空会社スターラックスにしました。
スターラックスはLCCではなく、フルサービスの中での安価な価格帯をターゲットにしているそうです。
なので機内食があります。
これは言ってしまえばソース焼きそばなのですが、具が日本の焼きそばではありえない大きさと質の高さです。左のパンもほのかに甘くてとても美味しい。
自分が取った券は片道約4万円でしたが、昨今はLCCも高くなってるので、金額が大して変わりませんし、LCCは発着時間が早朝や深夜だったりして、とても使いにくいという一面もあります。
乗客の層を見る限り、日本人にはまだあまり知られてないようでしたが、台湾へのテンションアップという面でもスターラックスはオススメです。
そうこうしているうちに桃園国際空港に着きました。
ここは『台湾論』93ページ目で「中正 蒋介石国際空港」とアナウンスされ、「ファシズム独裁者の名前がついてることに違和感を覚える」とありましたが、2006年に改称されたとのことです。
おそらく政治的抵抗もあったことを、なあなあで放置せず、きっちり実行する台湾政府は流石です(憲法も皇統問題も放置して保身しか考えず、堕落が極まってる自民党とはえらい違い)。
まず台北にある日本統治時代の建物、中華民国総統府を見に行きました。
国民党が日本のものをそのまま使ったというのは、当時よっぽど財政に余裕がなかったのかな、などと想像してしまいます。
総統府の隣にある司法院も日本が建てています。
こちらは『台湾論』154ページ目の、特に大反響を巻き起こしたと思われる、国民党政府による大虐殺である二二八事件(赤い共産主義のテロに対しての白色テロ)を追悼する二二八和平公園のモニュメントです。
公園自体は日本統治時代に作られましたが、陳水扁が市長時代の1996年に二二八和平公園と改称したそうです。
こういう事件は中国共産党なら完全に隠蔽されるので(天安門事件)、台湾らしさ、ひいては民主化を成した李登輝の偉大さを間接的に感じます。
ちなみにこの近くには中正紀念堂というデカい建物と広場があり、観光客も沢山いました。
すごいっちゃーすごいのですが、蒋介石を称える施設と知ると日本人としてはげんなりです。
次に和昌茶荘を訪問。『台湾論』の166、242ページ目です。
今は『台湾論』に出ている張さんの息子の正忠さんが切り盛りしています。日本語が堪能なのでいろいろお話しができました。
お店にあった『台湾論』です。
243ページ目をあらためて読むと、台湾のお茶は当時の日本人による研究と協力があったとありますが、それが近年のタピオカミルクティーブームにも繋がってるわけで、お茶でも文化と歴史の連続性を感じます。
台中関係のこともうかがってみましたが、やはり中国に飲み込まれた香港のことを気にされていました。
主人の正忠さんからは、台湾はああはなりたくない、ならないぞという強い意思を感じました。
お茶も試飲させていただきました。
小林先生のお気に入りだったものを飲ませていただいて、とても美味しかったです(一番高い茶葉でした笑)。
砂糖でなく茶葉からの甘みがあり、『台湾論』でも「あまーい。」と描かれている理由がわかります。
しかし茶葉から淹れるのは自分は家では絶対やらないので、ティーバッグタイプを3箱買いました。
「凍頂烏龍茶」は、普段イメージする烏龍茶の濃さや苦味がなく、爽やかでいい香りがします。職場で愛飲しています。
和昌茶荘のマークのオウムは『台湾論』のまま健在で、食後に薄めたお茶をガブガブ飲んでいました。こちらのお茶が長寿の秘訣なのは間違いないでしょう。
このお店では日本語で会話ができましたが、やはりそれは例外で、台北では他に日本語が通じたところはなかったです。
マツキヨ、かつや、はま寿司、松屋などの日本企業の店は沢山見かけるので、日本語が通じそうな気配はしますが、基本的には通じません。
昔、誰かから「台湾は(簡単すぎて)海外旅行に入らない」と聞いたことがありますが、そんなことはなかったです。
247ページ目にある「街で通りすぎる人と視線が合わない」というのも体験できました。
個人主義的で、他人のことも、自分がどう見られるかも、あまり気にしてないようです。
日本人は世間で生きてることもあって、知らない人と視線が合いまくります。
むしろなんでいちいち見てくるんだ?とか思ったりしてましたが、それをやるのは日本人だけだと知って、今後は捉え方が変わりそうです。
さらに、『台湾論』には「美人もなかなかいないような気がする」ともありますが、これは自分も台北ではそう感じました。
南の高雄では可愛いと感じる女性もいましたが、それは日本ぽさが残っているからか、もしくは暑くてポニーテールが多いからかも知れません。
正直、日本に帰ってきてから、日本の女性ってめちゃくちゃ美人多いんだなと思いました。
実際、台湾人YouTuberの方が、台湾女性は日本女性ほど化粧をしないとか、台湾男性は髪のセットをしないとか服に気を遣わないとか言ってましたが、確かにそういう感じがありました。
旅に戻って『台湾論』139ページ目にある六氏先生のお墓へ。
ここは丘になっていて、ちょっとした山道なので、行くときはそのつもりで行ったほうがいいでしょう。
歩道にはガードレールがあり、お墓には近付けないようになっていたので、行政は遠くから見るだけの文化遺産にしたいのかなと思いましたが、現地の人はガードレールを軽く乗り越えていて、台湾人っぽさを感じます(従順な日本人ならルールならなんでもかんでも守りそう)。
驚いたのが、お墓の前に立って手を合わせている人もいたことです。
わざわざ乗り越えてそれをするというのは、どういうお墓なのかを知っているに違いなく、その光景は強く心に残りました。
夜市にも行きました。
有名な士林夜市ではないですが、夜市はわりといろんな場所でやっています。
第一印象は「攻殻機動隊のままだ!」でした(押井守の映画のほう)。
あれは香港がモチーフだったと思いますが、『台湾論』120ページ目にも「猥雑な活気は香港で味わったのと変わらない」とあります。
ただ24年経ったからか、ヘビやすっぽんの解体や大人のおもちゃの店は見当たりませんでした。この夜市になかっただけかも知れませんが。
夜市というと日本人的には縁日のイメージが近いですが、縁日はあくまで非日常な祭りなので、屋台も高かったりマズかったりしますよね。具のない焼きそばとか。
台湾の夜市は地元の人も晩ごはんを買ったりして、日常の中にあるので、安くて美味しいです。
雰囲気は大阪の道頓堀にちょっと似ています。
夜市で買った魯肉飯(ルーローハン)。200円くらいでした。
中華料理っぽさはなく、南国のジャンク的な美味しさです。
とりあえず日本で食べられる魯肉飯とは見た目から全く違うのがおわかりいただけるかと思います。
今はこの日本では食べられない魯肉飯の味が恋しいです。
ふと見上げると、こういった日本だったら廃墟としか思えない建物がそこかしこにあります。
また外食文化が発展していることもあり、街の中は常に何かしらの匂いが漂っています。
街の衛生環境も、全体的に日本より二段階くらい悪いかなと感じます。
おそらく台湾人もそれを認識しているから、MRT(地下鉄)では飲食厳禁を徹底してるのかなと思いました。
トイレもトイレットペーパーは流せたり流せなかったりです。
いつもの癖で紙を投げ入れてしまい、掃除ブラシで拾ったりしました。
そういうこともあって、日本に戻ってからまず思ったのが、「成田空港のトイレが綺麗すぎる!」「街が無臭で綺麗!」でした。
日本の場合は潔癖すぎるところもありますけど・・・。
などと言うと、ゴー宣読者であれば、潔癖に由来するコロナ騒動の日本のダメさを連想するでしょうか?しかし台湾のマスク率は日本より高いのです。
個人主義的で、世間体の縛りが弱いはずの台湾で、これはどういうことなのかなと思いましたが、
台湾では電車の優先席に若者が座ると怒られるというルールがあるのに注目しました。
もしかしたら、マスコミが「高齢者を守れ」と煽って、それが儒教的な敬老の感覚と結びついて効いてるのかも知れません。想像ですが。
そんな衛生面のことも、旅行ですし異国感があっていいのですが、やっぱり日本とは違う国なんだなあと思います。
こちらはホテルの窓から見た光景です。
乱雑に配置された室外機がカッコいいのですが、この汚れ具合と窓の暗さがやはりどこか怖いですね。
駅のホームから見える街並みも大体こんな感じ。
写真映えすることは間違いありません。
ブレードランナー、AKIRA、攻殻機動隊、龍が如く、ファイナルファンタジー7、このあたりの世界観が好きな人にはたまらないでしょう。
以上が「24年目に台湾論の旅をしてきた」の台北編でした。
南の高雄編もありますが、長くなるので次回に続きます。
もう24年も経つんですねえ。
それでも変わらぬものもあるということを確認できると嬉しいものがあります。
韓国では旧朝鮮総督府庁舎をはじめ、日本統治時代のものはとっくに根こそぎキャンセルして、最初からなかったかのようにしてしまっているわけですから。
和昌茶荘のお茶も久しぶりに飲みたくなりました。ちょっと手間と送料はかかるけど、取り寄せもできるみたいですね。
次回、高尾編もお楽しみに!